ビデオゲーム文化研究会

院生代表者

  • 梁 宇熹

教員責任者

  • 吉田 寛

企画目的・実施計画

本研究会の目的は、ビデオゲームをはじめとするコンテンツ分野に関する歴史・変遷・現状を巡って、特にグローバルな視点から、既存のゲームスタディーズや視覚文化に対する理解を深めながら、将来性を検討することである。 本研究会においては、個々分野の分析だけではなく、多数のコンテンツを横断的に概括し、今後のビデオゲームや視覚文化に関する研究の方向と課題の提出を試みる。また、申請者達は本研究会を媒介として、各分野に関心を持つメンバーによる交流と支援、そして情報交換のためのネットワークの基礎を構築する。これは研究会を通してメンバー各自の研究の質を高めることに意義がある。主に今年度では上記目的のため、各自が研究活動で使用する英語文献の輪読・紹介を重きに置いた。

活動内容

  • 第1回研究会
    日時:2016年7月29日(木) 17時30分~19時00分
    場所:究論館 プレゼンテーションルームA
    内容: 第一回では、江葉航が担当となり、Dani Cavallaro『Anime and the Visual Novel: Narrative Structure, Design and Play at the Crossroads of Animation and Computer Games』(Mcfarland & Co Inc Pub,2009)の文献紹介と議論を行った。この文献は所謂日本で「恋愛シミュレーション」と呼ばれるジャンルのゲーム分析を行ったものである。内容としてはシナリオ分析が多いものではあるが、ゲーム分析を行う際に重要な部分や、主人公とキャラクター性(設定)の問題、アニメとの比較など、ビジュアルノベルとその派生作品との比較分析をする際に重要となる論点や、ゲーム研究における物語性の論点について、十二分な議論を行う事が出来た。
  • 第2回研究会
    日時:2016年12月01日(木) 17時00分~19時00分
    場所:究論館 プレゼンテーションルームA
    内容: 第二回例会では、川﨑寧生が担当となり、Carly A. Kourek『Coin-Operated Americans:Rebooting Boyhood At The Video Game Arcade,』(U.S.A:University of Minnesota Press,2015)の文献紹介と議論を行った。本文献は米国のアーケード文化史の、初期から00年代のプレイヤー文化に焦点を絞って分析されていた。本会ではとりわけこの書籍の中でも社会統制に関する部分が取り上げられ、アメリカにおける法制度や女性の社会進出といった、時代によって移り変わる社会背景とゲームがどのように関わるかという論点について、多岐に渡る議論が行われた。
  • 第3回研究会
    日時:2017年02月02日(木) 17時30分~19時00分
    場所:プレゼンテーションルームA
    内容: 第三回例会では、周鵬が担当となり、Miguel Sicart『Play Matters』(Cambridge: The MIT press,2014)の文献紹介と議論が行われた。本文献はビデオゲームも含めた遊戯論に関する文献である。本例会ではこの文献の遊びに対する姿勢(Playfulness)に議論の焦点が集まり、Playとしてのあり方や破壊からの再創造を主なものとするPlayfulness、それと相対するビデオゲームのシステム的な問題、Playfulnessの考え自体が持つ政治性など、様々な議論を行うことができた。
  • 第4回研究会
    日時:2017年02月25日(土) 12時00分~18時00分
    場所:大阪・日本橋~動物園前
    内容: 第四回例会では、本プロジェクトに留学生が多いということもあり、日本独自のゲーム文化を観察、分析するために、関西におけるゲーム文化のポータルと呼べる場所である、大阪日本橋を「でんでんタウン」、「オタロード」を中心に観察を行った。当日は全員が参加することはできなかったが、留学生に対し現地に20年前ほどから主に行っている川﨑がガイドとなり、ゲームセンターやゲーム店などを中心に観察を行った。結果的に留学生には異文化としての日本のゲーム文化の特殊性を把握することが出来、また川﨑や同行した吉田寛教授には、日本にいるだけではわからない中・韓から見た日本のゲーム文化の特殊性を見る事ができた。

成果及び今後の課題

 本研究会ではとりわけ各人が読み進めている英語文献を中心に現行専門化しつつある各ゲーム研究領域の共有化を努め、各々の研究テーマに合わせた文献を紹介し、議論を行うことで、参加者がより研究を進めながら活発に議論が行う場を作ることが出来た。また、本研究会所属の留学生が多いために行った大阪日本橋での観察は、日中韓とゲームに関する様々な様相が異なる研究生達の認識を共有し、各人の研究に活かす場を作ることが出来た。
 今後もこのような研究会を行い、参加者間におけるゲーム研究に関する理解を深めつつ、今後より活発になると思われるゲーム研究について、更に深い議論の場を作る事を考えている。また、議論を進めるだけではなく、今後もさらに研究会での内容を踏まえた発表や、論文作成へと発展させていきたい。

構成メンバー

梁 宇熹(表象領域・2012年度入学・代表者)
焦 岩(表象領域・2014年度入学・研究分担者)
川崎 寧生(表象領域・2008年度入学)
辛 注衡(表象領域・2014年度入学)
周 鵬(表象領域・2015年度入学)
向江 駿佑(表象領域・2015年度入学)
江 葉航(表象領域・2015年度入学)

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