現実と仮構のテクノロジー研究会
院生代表者
- 伊藤 京平
教員責任者
- 千葉 雅也
企画目的・実施計画
本研究会の目的は映画・ゲーム・アニメなど様々な作品、すなわち仮構(フィクション)に着目し、その技術や役割を現実のテクノロジーと比較検討することにある。映画中に見られる未来の「ハイテクノロジー」と、現実世界における「テクノロジー」とは大きく異なる場合がある。また、映画中に登場したデバイスの中には、 『バック・トゥー・ザ・フューチャー』に登場したコンピュータに接続可能なメガネの様に、現在のGoogle GlassやOculus Riftの様な技術の前身の技術と言えるほど酷似しているものも存在する。各時代、様々な媒体のフィクションに登場する技術を比較検討し、その特徴・傾向に関する理解を深めながら「フィクションとテクノロジー」の様々な相互関係を考える。
活動内容
本研究会は不定期に研究会を開催し、映像や書籍を用いたテキストの輪読・ディスカッションもしくは研究発表を行った。本研究会メンバー以外にも関心がある学生に参加を促し、広い見地から議論を行うように心がけた。また、外部で行われる展示会に参加し、報告会を開催する。
- 2015/5/20〜2015/6/25
- 2015/12/9
Daniel C. Denettの“The Mind’s I”を講読した。本書は文学、人工知能、心理学など複数の研究分野における専門的な視点から、自我と意識について様々な考察を行っている。特に第4章では、脳と身体、記憶と人格の継続性に関する小話を通じて、「私はどこにいるのか?」、「私は誰なのか?」という哲学的な問いを展開している。こういった話題は「攻殻機動隊」などのフィクションで扱われているテーマである他、現実でもブレインマシンインターフェースとして研究されている。
研究会メンバーが映像ミュージアム企画展「あそぶ!ゲーム展」、および奥田栄希「悲しいゲーム展」に参加し、約2時間の報告会を行った。本報告会には研究会メンバー以外の学生も参加し、ゲームの保存手法(現物保存、コードのみの保存)、ゲーム制作者やプロデューサーの名前が表出するようになった要因など、様々な話題について議論した。
成果及び今後の課題
今年度の研究会では、文献講読を中心に、メンバーが参加した展示会の報告会を開催した。ゲーム研究専攻のメンバーがいたこともあり、ビデオゲームの話題が主たるものとなった。メンバーの事情により後期の開催回数が少なくなった。また、現実とフィクションのテクノロジーを扱ったが、比較をする段階にあたらなかったため、これは今後の課題としたい。
構成メンバー
伊藤 京平(先端総合学術研究科 表象領域)
周 鵬(先端総合学術研究科 表象領域)
向江 駿佑(先端総合学術研究科 表象領域)
伊藤 岳史(先端総合学術研究科 生命領域)
後山 剛毅(先端総合学術研究科 表象領域)