植民地主義研究会(2012年度)
院生代表者
- 番匠 健一
教員責任者
- 小泉 義之
企画目的・実施計画
公募研究会としては2009年度に発足し、今回の申請で第4期目にあたる。ポストコロニアル研究や帝国史・植民地法制史など、近年の植民地主義研究の動向を踏まえつつ、植民者と被植民者を単純な構図に当てはめ植民地主義の支配の構図を単純化して語ってしまう欲望から身をひき、それぞれの場所に固有の植民地システムと個々のシステムの連関、植民地権力の偏在性を、近現代史を貫く歴史的なパースペクティブを共有しながら切磋琢磨することが、本研究会の目的である。
植民地主義関係のテキストの輪読、もしくは研究会のメンバーの研究発表を行いながら、それぞれの企画構成員が自身と自身の研究にとっての植民地主義とは何かという問いを深め、問題意識を共有する場の構築が、本研究会を実施する意義である。
おおよそ月一回のペースで定期的に植民地主義に関する文献を購読し、同時に研究会の構成員による研究発表を行う。10月には、日本植民地における戸籍法研究者である遠藤正敬氏を招聘して公開研究会を開催する予定である。 また、他大学の院生も含めた共同研究グループでの国内植民地研究の資料調査・フィールドワークを行う予定であり、本研究会の構成員が参加する場合この資料調査の補助費を支給する。
活動内容
第1回 植民地主義研究会
2012年6月8日(金)16:00~
- 大野光明(立命館大学博士課程)
「沖縄べ平連論――フェンスを『越える』実践の条件と困難」 - 西川長夫
「3.11が明らかにしたこと-原発とグローバル化の問題を中心にして」
第2回 植民地主義研究会
2012年8月30日(木)16:00~
- Colonial Linkages from the Viewpoint of Agricultural Colonization Theory in Hokkaido 北海道における農業植民論からみた植民地連関
Kenichi Banjo (Ritsumeikan University) - Discourses on Okinawa as a Colony in Japan in the 1960s and 1970s 1960-70年代の「日本植民地としての沖縄」言説の検討
Mitsuaki Ono (Ritsumeikan University, Research Fellow of Japan Society for the Promotion of Science)
第3回 植民地主義研究会 公開研究会
テーマ「植民地統治と国籍問題」
日時:2013年2月11日(月)
場所:立命館大学衣笠キャンパス、学而館2階 第2研究室
時間:15:00~19:00
- 遠藤正敬(早稲田大学台湾研究所研究員)
「「日本人」の鋳型としての戸籍-「民族」そして「国籍」を司る「家」の論理」
コメント:原佑介 - 鄭卉芸(大阪大学日本学研究科博士課程)
「重層の「外地」に棲む妾」
コメント:松田有紀子 - 倉本知明(文藻外国語学院講師)
「饒舌と沈黙-1970年代台湾文学における復員者と女性表象」
コメント:原佑介
成果及び今後の課題
研究計画にあるとおり、近年の日本植民地研究・ポストコロニアル研究の成果に学びながら、それぞれの研究テーマと植民地主義の問題とを関連付けて研究を進めるというのが、本研究会のテーマであった。本研究会は、生存学研究センター若手強化型研究プロジェクトとしても助成を受けることができ構成メンバーによる調査研究やフィールドワークを行うことができた。また、定例研究会や公募研究会の場において、構成メンバー以外の研究者と共同して議論を進めることにより、植民地をテーマにする他大学・本学他研究科との交流をはかることができた。
来年度以降は、とりわけアメリカの占領政策と戦後日本社会の形成というテーマと接続する形で日本植民地主義を扱っていく予定である。
構成メンバー
- 大野光明 先端総合学術研究科・公共領域・2005年度入学
- 大野藍梨 先端総合学術研究科・共生領域・2006年度入学
- 田中壮泰 先端総合学術研究科・共生領域・2005年度入学
- 吉田幸恵 先端総合学術研究科・公共領域・2009年度入学