映画理論・映画テクスト研究会(2024年度)
院生代表者
- 西川 秀伸
教員責任者
- 千葉 雅也
概要
本研究プロジェクトの目的は、映画理論と作品分析の方法論に対する理解を深めることである。本研究プロジェクトはこの目的を実現するために、新旧の映画理論を精読し、その学びを軸にして、改めて具体的な映画作品を鑑賞しようと考える。したがって、研究会の構成も映画理論編と作品鑑賞編に分かれることになるだろう。
映画理論編は、三つに分かれる。第一に今年惜しくも亡くなった北米を代表する映画研究者デビッド・ボードウェルの著作群を講読する。ここでは主に映画と物語の関係を探ることになるだろう。第二にジル・ドゥルーズの『シネマ』1&2を講読する。ここでは、映画研究と哲学の橋渡しを探ることになるだろう。最後に日本の映画研究を牽引する蓮實重彦と木下千花の著作を講読する。ここでは日本の研究者と批評家が、欧米の理論や哲学をいかに自身の研究方法や理論に取り込んでいったかを探求することになるだろう。
作品鑑賞編は今のところ、マーティン・スコセッシ監督の『沈黙』を予定している。スコセッシが遠藤周作の原作をいかにして映画メディアに翻案したかを精緻に検討することになるだろう。
本研究プロジェクトでは、これら二種類の研究会を有益に実施するために、映画理論と映画批評に精通する、大阪大学名誉教授である上倉庸敬先生をゲスト講師として定期的に招聘する予定である。定期的に実施される研究会の内容は、プロジェクトメンバーの発表とそれに基づくディスカションである。
本研究プロジェクトの意義は、次の三点に集約される。第一に、欧米や日本の映画研究の大きな流れを理解できる点である。第二に、ボードウェルや蓮實や木下そしてドゥルーズの理論と方法論を正確に理解することによって、これらの映画理論を精密に運用する能力を修得できる点である。第三に、本研究プロジェクトを通して、抽象的な次元の映画理論と具体的な次元の作品分析のための方法論の双方に精通することによって、映画研究の未来に資する能力を養うことができる点である。
活動内容
構成メンバー
西川 秀伸
宮内 沙也佳
立川 宗一郎