学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)
先端総合学術研究科先端総合学術専攻は、自らのテーマ・領域の専門的・国際的でかつ最新の情報を収集し総合的に判断する能力をもち、同時にプロジェクトを通じて新しい研究領域を切り開いていくような次世代の研究者を育成することを目的としています。そのため、修了時点において学生が身につけるべき能力(教育目標)として、下記の5点を定めています。
(1)<今>に取り組む能力
世界の様々な動向にリアルタイムで対応しうる、研ぎ澄まされた感受性とレスポンス能力を有する。
(2)<歴史>を考える能力
世界の新たな兆候を、歴史的な視点を踏まえて、人間にとって基本的で普遍的な問いとして提起
し、回答する能力を有する。
(3)<連携>して<活動>できる能力
こうした問いと回答を、研究者をはじめ、様々な活動をしている市民や専門家などとの共同作業と連
携のなかで展開しうる能力を有する。
(4)<発信>する能力
獲得された研究成果を、旧来のメディアだけでなく、多様な媒体(電子媒体、映像媒体)を通して、
広く内外に有効に発信する能力を有する。
(5)<次世代>の研究を切り開く
新たに創出される研究のあり方をシステムにまで高めて、次世代に継承する能力を有する。
先端総合学術研究科は、大学院生が博士論文を追求していく中で、学際的で国際的な知の生産を意識したプロジェクト研究に積極的に参加することを通じて研究者養成教育をおこないます。その過程では、ディシプリンを基礎とした既存研究科と建設的な緊張関係を保持しつつ、新たな研究領域創出をリードし、大学院生に新しい研究に向かう選択肢を提供することを目標としています。こうした目標を実現するために、先端総合学術研究科では①「核心としての倫理(コア・エシックス)」を基軸として、②人文科学、社会科学、自然科学の3分野を横断する先端的で総合的なテーマ設定をもった、③オープンな研究者ネットワーク構築と多様な成果獲得を目指すプロジェクト研究を活用した、④時代的要請に応えうる柔軟な構造をそなえた、新たな大学院教育システムを設計しています。一貫制大学院である先端総合学術研究科は、入学後から課程修了までの5年間にわたり、研究科の教育目標・人材育成目的に即して体系的かつ系統的な研究者養成教育を展開しています。この養成を経て学位取得のためには、上記のような能力を備えていることを求めています。
これらの能力の獲得は、本課程の教育課程で規定されている所定単位の修得、論文基準にもとづく博士学位論文審査および最終試験の合格により、その達成とみなし、学位として博士(学術)を授与します。
《論文評価基準》
博士学位論文は、専攻分野の研究者として優れた研究活動を行い、またはその他の高度に専門的な業務に従事するに必要な研究能力及びその基礎となる豊かな学識が認められるものでなければなりません。さらに、先端総合学術研究科の博士学位論文として、相応の質・量、内容・水準を備えたものでなければなりません。分野や主題によっても異なりますが、一般的には、以下の項目が評価の対象となります。
(1)形式的要件:適切な分量と同時に全国学会の学会誌等に準じた形式であること
(2)問題設定と研究テーマの妥当性・独自性
(3)研究の意義・適切性
(4)論文の体系性・全体構成
(5)先行研究の調査・既存研究との関連性
(6)理論的分析の明確性・論理的一貫性
(7)方法論的妥当性・体系性
(8)論述の適切性・厳密性・緻密性
(9)論旨・主張の整合性と一貫性
(10)表現・表記法の適切さ
(11)独創性・先進性