食の文化変容研究会(2023年度)

院生代表者

  • 酒向 渓一郎 

教員責任者

  • 小川さやか

概要

 本研究会は東アジアの食の受容/変容を研究対象とし、文化人類学や社会学における「文化の創造」の理論から、近年文化的交流が活発化する日本と韓国を中心とする食の文化変容の実態を解明することを目的とする。本研究会ではまず理論的枠組みの理解を図るため、ホブズボーム&レンジャー(1992)の『創られた伝統』の輪読を行う。その後日韓の歴史において、相互に食に文化的な変容が明らかになったことを論じた八田靖史(2015)の『食の日韓論』の講読を行う。これらの輪読を終えた後に、日本国内における韓国料理および韓国食品の受容、影響に関するフィールドワークを一度実施する。そのうえで最後のまとめとして、『食の日韓論』の著者である八田氏を招聘し、近年、特にコロナ前後の日本における韓国料理/食品の受容および韓国における日本料理/食品の受容について講演をいただく。これらの活動を通して、日韓における食文化の変容/受容だけではなく、その背景にある日本人/韓国人の移動がもたらした東アジアの移動も踏まえた移民のムーブメントの一端が何であるか、そして移民と食文化の関係性の一つの事例を提示することを目標とする。【参考文献】ホブズボーム&レンジャー(1992) 『創られた伝統』紀伊国屋書店、八田靖史(2015)『食の日韓論―ボクらは同じものを食べている』三五館

活動内容

「食の文化変容研究会」日韓の食文化比較 ボクらは同じものを食べている

【日時】
2024年1月14日(日) 15時00分~17時30分

【概要】
本研究会では「伝統の創造」というワードから、一見伝統と考えているものも必ずしも実はそうでもないことについて学んできました。それは食においてもそうです。皆さんが普段当たり前に食べているものもそういうものが多いです。これらについて学んだうえで本研究会では八田靖史様をお招きして、日韓の食の事例から普段当たり前に食べているものに関して、改めて再考する機会を持ちたいと今回企画しました。

【講師】
八田靖史(コリアン・フード・コラムニスト)

プロフィール

慶尚北道、および慶尚北道栄州(ヨンジユ)市広報大使。ハングル能力検定協会理事。1999年より韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。韓国料理の魅力を伝えるべく、2001年より雑誌、新聞、WEBで執筆活動を開始。トークイベントや講演のほか、韓国グルメツアーのプロデュースも行っている。

【場所】:立命館大学衣笠キャンパス 末川記念会館講義室

【主催】:立命館大学大学院先端総合学術研究科「食の文化変容研究会」

【参加方法】参加費無料 *要事前申込制

お申し込みはこちらから。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScr7DFrn1xzGCu4fJ8ZvolmupMcnJk2ZRkAFE0y5xG7D4M4jA/viewform

成果及び今後の課題

 『創られた伝統』の輪読、そして八田氏の講演会を通して、日本/韓国の食の文化受容の変遷を体系的に学ぶことができた。『創られた伝統』においても触れられている植民地を展開した列強が被植民地においてなんらかの影響を及ぼした点について、日本⇔韓国の間においても同様の影響を確認することができたのが成果としてあげられる。一方で植民地支配が終わり、それとは直接的には関係ない文脈においても日韓の文化受容は続いている。一方で歴史と文化は別と捉えて「消費」が続いているのも確かだ。課題としてはこうした「ポストコロニアル」な中での「消費」をどう捉えるかについて考えていく必要もある。

構成メンバー

酒向 渓一郎◎
柴田 惇朗
宮本 敬太
Chen Kewei

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