マイノリティとマジョリティのディスコミュニケーション研究会(MMD研)(2023年度)

院生代表者

  • 澤岡 友輝

教員責任者

  • 立岩 真也

概要

【目的】
聴者とろう者、健常者と障害者(盲ろう者・高次脳機能障害者など)、日本語母語話者と非日本語母語話者などのように多数派と少数派のコミュニケーションには方法や形態の異なりが存在するだけでなく、マジョリティ側の方法に強制させられたり、また、それにより情報アクセスの制限や自分の思いや意見を述べる機会の減少など、マイノリティが抑圧されたりしてしまうことがある。マイノリティとマジョリティのコミュニケーションにおいて、自己決定がどのようになされているのか、社会の構成員としてどのように主体的に参加しているのか、さらにコミュニケーションの「平等化」や「民主化」(野口2016)の達成を志向していくには何が必要でどうすればいいのか。ディスコミュニケーション(コミュニケーションとして機能しているが、それが「平等化」「民主化」されていないもの)の事例を通して、コミュニケーションとはどのような行為/現象なのかについて考えていきたい。
【内容・方法】以下の2点である。1. 研究目的に沿った研究者に講演をしてもらい、コミュニケーションの様々な方法や状況の課題について理解を深めていく。講演会の内容は録音・録画を行い、『遡航』に講演録を掲載する。2. 研究会メンバーが各自のテーマでの研究を発表する。査読付き論文に向けた作業だけでなく、査読に出せない資料、レポートなどを遡航に掲載することも目的とする。さらに、3年後に書籍刊行を目指す。
【意義】本研究会の意義は、コミュニケーションに関する障害や、他者とのコミュニケーションにおいてもどかしさを感じる状況にいる人々に着目する研究者が集まり、意見の交換や報告を経て各自の研究力向上/学術研究に寄与できるという意義を持つ。
【参考】Goffman, E. (1959) The Presentation of Self in Everyday Life. Doubleday & Company.: 石黒毅(訳)(1974)行為と演技――日常生活における自己呈示.誠信書房.
野口裕二 (2016) 医療コミュニケーションの変容――平等化と民主化をめぐって, 保健医療社会学論集, 27(3), 3-11.

活動内容

「ただ存在するだけでいい/他者との関わりの 中に自分の生きるをつないでいく」


開催日時・会場
2023年9月30日(土)14:00~16:00
会場:Zoom ※13時45分以降入室可能
※文字情報保障を行います
 

講師:福田暁子(ふくだ あきこ)氏
東京在住の盲ろう者。現在内閣府障害者政策委員会委員、東京女子大学非常勤講師(「ダイバーシティとコミュニケーション」)などを務める。コミュニケーション方法は触手話が中心。使用文字は点字。多発性硬化症のため人工呼吸器と電動車イスを使用。

<講演会の内容>
見えず聞こえない盲ろう者は他者とのコミュニケーションをどのように経験しどのように捉えているのか。通訳・介助者やヘルパー、他の障害者との関わりの中で感じることを福田氏に語ってもらう。

<プログラム>
14:00 開会挨拶 大谷いづみさん(立命館大学生存学研究所 所長)
14:05 講演 講師・福田暁子さん
テーマ「ただ存在するだけでいい/他者との関わりの中に自分の生きるをつないでいく」
質疑応答
15:55 閉会挨拶 飯田奈美子さん(立命館大学衣笠総合研究機構 専門研究員)

〇参加申込
9月28日(木)までに下記フォームから参加の申し込みをお願いします。
https://forms.gle/uCxxd5xrg3FhAHEQ6
登録後、ZoomのURLを後日メールにて送付いたします。

成果及び今後の課題

 毎月研究会を実施し、各メンバーの研究計画・執筆中の論文について意見交換や議論・相談をすることができた。また、盲ろう者を対象とした博論本の輪読会を行い、盲ろう者に関する基礎的な知識だけでなく、調査の方法や博士論文の書籍化についても学習した。年度内に二回行った公開研究会では研究会メンバーの知識を向上したうえで、研究会外部へも盲ろう者・失語症者に関する知識の普及・増進を図ることができた。コミュニケーションに関する企画の立案・プロジェクトの運営を通して得た、誰もが情報の授受を保障されている企画の在り方と計画遂行能力を生かして、今後は、各メンバーによる研究助成金申請や研究科への交渉などで情報保障にかかる費用を捻出あるいは確保することを課題とする。

構成メンバー

◎澤岡 友輝
種村 光太郎
森下 摩利
石川 真紀

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