ソーシャル・プラクティスとアート研究会(2023年度)

院生代表者

  • 藤本 流位

教員責任者

  • 竹中 悠美

概要

本研究プロジェクトの目的は、現代美術に関する文献を用いた講読会を通して、とりわけ2000年代以降により社会的実践として問われている現代美術の在り方についての知見を深めるということである。具体的な内容については以下の通りである。2023年6月から2024年2月にかけて美学・芸術学に関連した研究を行なっている院生メンバーを中心として月2回の定期研究会を開催する。定期研究会では、同院生プロジェクトの昨年度の講読文献であった『ラディカント』(2022年、フィルムアート社)の著者であるキュレーターのニコラ・ブリオーによる『The Exform』(2016年、Verso)を取り上げ、その文献内容をまとめたレジメを用いた発表形式で講読会を進めていくものとする。さらに、この定期研究会と並行して、関西圏の美術館・アートフェアを対象としたフィールド調査と、その調査報告会を実施し、より実践的な場における研究者としての審美眼を訓練していくものとする。本研究プロジェクトの意義は、美学・芸術学を中心とする、多様な研究対象からなる学際的な院生メンバーによって、2000代以降の現代美術のなかで注目される「ソーシャル・プラクティス」としての現代美術作品とそこで駆動している理論についての議論を行なうことである。これによって、院生メンバーのそれぞれの研究領域のなかで前提とされる理論や先行事例を共有することで、各専門分野だけにとどまることのない幅広い知見の獲得を狙っていく。また、それに加えて、講読会・報告会を通したレジメの制作・調査報告発表などの、全般的な研究発表に必須とされる実務的な演習を重ねることで研究者としてのスキルアップを目指すことも本研究プロジェクトの意義の一つである。

活動内容

第一回研究会
日時: 2023年7月18日
場所: オンライン(Zoom)
内容: ニコラ・ブリオー『The Exform』イントロダクションの講読。

第二回研究会
日時: 2023年10月28日
場所: 国立京都国際会館
内容: アートフェア「Art Collaboration Kyoto」のフィールド調査。

第三回研究会
日時: 2023年10月30日
場所: 究論館プレゼンテーションルームC
内容: 第二回研究会で実施したフィールド調査についての検討会。

第四回研究会
日時: 2024年1月6日
場所: 究論館1F
内容: ニコラ・ブリオー『The Exform』第1章の講読。

成果及び今後の課題

 本研究会は、現代美術、デジタルメディア、現代思想などの領域を研究対象とする院生メンバーが集まったことから、文献講読、フィールド調査の検討会においても、それぞれの関心が切り口となるような事例、コメントを議論に取り入れることができたと言える。ブリオーの文献資料もフランス現代思想の複雑な文脈に依拠した章があったことから、専門的な知見を持つ院生メンバーとともに講読を実施できたことは非常に有意義であった。しかしながら、講読会にせよフィールド調査にせよ、スケジュール調整などの都合によって昨年度よりも研究会の開催数が減少してしまった。そのため、研究会のなかで文献講読を定期的に実施するためのスケジュール調整に工夫が必要であると思われる。

構成メンバー

藤本 流位
Kyo KIM
北村 公人
高畑 和輝

活動歴

2022年度の活動はコチラ

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