「少数者」と教育(2023年度)
院生代表者
- 種村 光太郎
教員責任者
- 立岩 真也
概要
本プロジェクトの指導教員である立岩真也は、科研費研究(基盤A)の成果発信として叢書を出版する。その中のテーマの一つに、「障害学生支援」というテーマがある。本院生プロジェクトは、その「障害学生支援」本の執筆を担当する院生らによって運営される。
「障害学生支援」という分野では、従来「支援の在り方」や「制度の在り方」に注目した研究が多くなされてきた。その研究自体の意義は認めつつも、本研究会ではそのアプローチと異なる方針で研究を行っていく。それは「障害学生支援」の制度や場が自明視してきたこと、例えば「高等教育では障害者/健常者とを分けずに、共に学んでいくこと」「知的障害者が高等教育に進学することが困難」など、「社会的少数者が高等教育機関で学ぶ」というときの前提について問い返していく。その目標を達成していくために本院生プロジェクトの目的は3つある。
①「少数者と教育」に関する研究動向や歴史を把握、及び実態を調査し、その成果を発信していくことを通じて、叢書の出版、及び学術研究の発展に寄与できる実践力を身に付けること。
②「少数者と教育」に関わる研究を行う院生の共同研究を通じて、各自の研究能力を向上させること。
③ 研究目的に沿った研究者に講演をしてもらい、「社会的少数者と教育」を取り巻く課題について理解を深めていく。講演会の内容は録音・録画を行い、『遡航』に講演録を掲載する。
活動内容
開催日時:2023年12月2日(土曜日)10:00-12:00
開催場所:オンライン開催(ZOOM)
講師:石川憲彦先生(精神科医)
講演テーマ:「就学闘争を振り返って——医療現場で感じたこと——」
対象者:本テーマにご関心のある皆さま
参加費:無料(事前登録制)
参加方法:以下の申込フォームよりお申し込みください。
https://forms.gle/GqGsSsezmzaJG2nY8
申込締切:2023年12月1日(金曜日)10:00まで
情報保障について:
テキストによる文字情報保障を予定しています。
合理的配慮について:
上記情報保障以外の合理的配慮をご要望の際、視覚障害等の理由で申し込みフォームからの申込みが難しい場合、問い合わせ先までご連絡いただけますようよろしくお願いいたします。
問い合わせ先:「少数者と教育」研究会 事務局
メール:
gr0529kp@ed.ritsumei.ac.jp (代表:種村光太郎宛て)
主催:「少数者と教育」研究会
共催:立命館大学生存学研究所
成果及び今後の課題
本研究会の中心的テーマである「情報保障」は、主に聴覚障害者や視覚障害者に対して用いられる傾向があった。しかし、その「情報保障」の対象となってこなかった知的障害者や発達障害者などはどのような境遇に置かれていたのか、どのように権利保障が行われようとしてきたのか、その一端しか明らかになってこなかった。
そのため2023年度は、「情報保障」を調べる前提となる障害者の学習環境について調べる必要があった。そのため、石川憲彦先生を講師に招聘し、「1970年代~80年代の知的・発達障害者たちは、どのような境遇に置かれていたのか、どのように権利保障が行われようとしてきたのかをお話いただいた。従来の情報保障の歴史的研究が視覚・聴覚障害に偏っていたことを考えれば、本研究会によって明らかになったことは今後の研究を行う上で基礎的研究となり、重要な研究成果であると言える。
しかし、講演会にお招きする講師は、メンバーが途中加入する前より決めていたこともあり、途中参加メンバーの興味関心にダイレクトに関係する講師を招聘することができなかった。新年度、講師招聘を検討するにあたり、各々の研究活動や問題関心に直結する講師招聘を行えるよう、心がけていきたい。また、個々の研究相談も結局的に行っていき、本研究会メンバーが幅広い研究テーマに関心を持てるよう働きかけていきたい。
構成メンバー
種村 光太郎
山口 和紀
竹村 文子